2026年度新規事業「外国ルーツの子ども・若者の未来を支える事業 ~「福祉×法律」による自立支援~」
2026年度は、ミダス財団の助成を受け、
「外国ルーツの子ども・若者の未来を支える事業~「福祉×法律」による自立支援~」を実施しています。
外国にルーツをもつ子どもや若者が直面する、在留資格や国籍といった「ややこしい問題」。
それらを、ISSJが培ってきたソーシャルワークの知見と現場での経験に法制度の専門家の力を融合させ、解決できるように取り組んでいきたいと考えています。
背景
昨今、在留外国人が増加する中で、外国にルーツをもつ子どもも増えています。その中には、親からの適切な養育が受けられずに社会的養護となる子ども、何らかの理由で国籍を取得できていない(本国に未登録)ままとなっている子どももいます。
施設に措置されている外国ルーツの子どもの本国登録をしたり、養子縁組の手続きを遂行するためには、支援者が子どもの親の出身国の国籍法や養子縁組に関する要件を十分に理解する必要があります。また、外国籍の人が日本で暮らしていくにあたっては、年齢に関わらず、在留資格の取得と更新は欠かすことのできない重要な手続きです。
こうした対応は、外国ルーツの子どもの支援には欠かせませんが、施設や児童相談所の職員には、まだまだなじみがありません。「在留資格」や「国籍」というキーワードだけで苦手意識を持つ支援者も少なくないのが実情です。
外国にルーツをもつ子どもが安心して自分の未来を描くためには、国籍や在留資格といった社会的身分が確立されていることが不可欠です。しかし、無国籍状態や不安定な在留資格のまま社会に送り出されたケアリーバー(施設を退所した元措置児)にも数多く出会ってきました。例えば――
- 本国書類を求められても提出できるものがなく途方に暮れる無国籍状態の若者
- 施設退所後におとずれた初めの在留資格更新のタイミングで何をどうして良いかわからなくて困り果ててしまう若者
- 社会適応に困難を抱える親を支えるために、自分自身の身分の安定は後回しになってしまうヤングケアラー
ISSJではここ数年、このような課題を可視化することを目的に、セミナーや研修などでの発信を続けてきました。同時に、外国人支援に詳しい弁護士や行政書士と連携し、こうした課題に適切な助言を行える相談機関として、認知度を高める努力をしてきました。
その結果、児童相談所などの行政機関からの国籍や在留資格に関わる相談が増えています。施設を退所した元措置児(ケアリーバー)が直接相談を寄せることもあります。その一方で、ISSJに寄せられる相談が氷山の一角に過ぎないことを感じてきました。
各地での支援を実直に積み重ねることを通して、だれか一人、どこか一つの地域の課題ではないということを示すとともに、持続可能な解決方法を関係者と共に見出していく必要があると考えています。
本事業で取り組むこと
【対象者】
社会的養護の子ども、ケアリーバーの若者、同様の課題を抱えた若者
※東京都、神奈川県、埼玉県在住の対象者を除く(注1)
【2つの目的】
- 対象となる外国ルーツの子ども・若者が、安心感と将来への希望をもって社会で生活できるよう、その基盤となる社会的身分(国籍や在留資格)の安定を図ること。
- 福祉職と法律の専門家(弁護士や行政書士)が連携し、これらの課題に取り組む実践を積み重ねること。
【3つの柱】
- 国籍取得支援
国籍に関する相談に応じ、無国籍状態にある場合には、出生登録の方法を模索し、国籍取得のための手続き(事案整理、外国法の調査、書類の取得、作成、大使館および関係機関との連絡調整、同行などのケースワーク)を支援します。
ソーシャルワーカーがケースマネジメントを行うことで、関係機関をつなぎ、子ども一人ひとりを包括的に支援します。
法律援助制度の活用など、経済的負担を軽減できる方法を提案しながら、相談者が国籍取得に至るよう、それぞれのケースについて最適な方法を探ります。 - 在留資格・帰化の相談支援
対象となる子どもや若者本人だけでなく、児童相談所、児童養護施設、里親、外国ルーツの子どもを養子縁組した養親などに対して、在留資格の更新・変更手続き、帰化許可申請に関する助言やサポートを行います。 - 若者へのアウトリーチと伴走
外国ルーツであることや不安定な法的基盤、複雑な家庭事情という複合的な困難を抱える若者に対し、法律や社会制度の利用に関する助言を行います。
同時に、日常生活で直面する困難やメンタルの課題を乗り越えられるよう、当事者の心理にも着目した心理社会的支援を提供します。
(注1)東京都、神奈川県、埼玉県内の施設に暮らす外国ルーツの子ども及びケアリーバーについては、別の事業を実施しているため対象から外れています。
本事業は、ミダス財団公募助成「日本国内で支援を必要とする子どもたちのための支援および困難を抱える妊産婦支援」に採択いただき、実施しています。