1. 難民条約と定義

難民とは、紛争や人権侵害などから住み慣れた故郷を逃れざるを得ず、国境を越えて新たな土地に辿り着いた人々です。本国では政府の保護が受けられず、いつ帰国できるか分かりません。

難民の定義について、国連の「難民の地位に関する条約(難民条約)」には以下のように定められています。
「・・・人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者・・・」(難民の地位に関する条約1条より抜粋)

ポイントは、大きく分けて以下の3つになります。
① 人種、宗教、国籍、特定の集団に所属していること、あるいは政治に関する意見を理由に、迫害を受ける恐れがある
② 自分の国籍国の外にいる
③ 自分の国で十分に保護を受けることができない、あるいはそれを望まない

近年は紛争や迫害の形態も多様化し、難民の出身国や地域も変化しています。また、国境を越えずに国内に留まる人々(国内避難民)の数も増加しています。

2. 日本の難民受け入れ制度

日本にも難民としてやってくる人々がいます。日本に到着した難民は、法務省入国管理局に申請を行い、審査を受けなければなりません。

日本で難民の認定を受けて生活している人々は、大きく二つのグループに分けられます。

①条約難民

条約難民とは、個別に日本に逃れ、審査を経て難民と認定された人々です。条約難民として認められると、日本人とほぼ同等の権利と義務が生じ、難民パスポートの取得や難民のための定住支援プログラムへの参加が可能になります。

難民であるかどうかの判断(難民の認定)は、法務省(入国管理局)が行っています。難民として認められなくても、「人道上の配慮」を理由に日本に滞在できる場合もあります。

②第三国定住難民

難民キャンプや難民条約に加入していない(政府による庇護を受けられない)国で暮らす難民を、別の国(第3国)が受入れる制度です。日本では、2010年から第三国定住難民の受入が開始されました。これまでは、タイの難民キャンプとマレーシアに暮らすミャンマー難民を、毎年30人を上限として家族単位で受入れてきました。2019年に政府は第三国定住難民の受入れ政策を見直し、タイ・マレーシアに限らずアジア地域に一時滞在し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が推薦する人を受入れの対象として、年間約60人の範囲内で受入れを行うことにしました。地域社会における難民の受入れについても、更なる発展が期待されています。