養子縁組後の相談窓口設立

ISSJには、海外在住の養子縁組当事者を中心にルーツ探しをサポートしてきた歴史があります。これまでに産みの親の近況を知りたい・会ってみたい、養子縁組前の生い立ちが知りたいなど、たくさんのご相談が寄せられてきました。

ある養子の方は、『自分が養子であること自体が不幸なのではなく、悩みを打ち明ける人がいなかったことが辛かった』と話してくださいました。もし当事者の方々が生きづらさを感じているのだとすればそれは養子であることだけが理由なのではなく、周囲からの理解、偏見も要因のひとつになるのではないでしょうか。そして、それは支援体制が整っていくことで少しずつ解決されることでもある、と考えています。

自身の生い立ちを追い求める時、不安な気持ちで胸がいっぱいになり誰かの手を借りたいと思う時があるかもしれません。突然自分が養子であることを告げられた時、自分にはまだ見たことのない産みの親がいると知った時、混乱が渦巻いて誰かに話を聞いてもらいたいと考えることもあるでしょう。周りに同じ境遇の人がいなくて誰に思いを打ち明けたらよいかわからないと、心がわだかまる方もいらっしゃると思います。

このたび日本財団の助成を受け〝養子縁組後の相談窓口〟を設立いたしました。今年度に入り、民法改正によって特別養子縁組の年齢引き上げが行われ、さらなる制度利用が期待される養子縁組。しかし、残念なことに養子縁組成立後のサポート体制は決して十分とは言えないのが現状です。

今は、まだまだ小さな窓口です。当事者のみなさんの期待に応えるためにも、専門家の知恵をお借りしながら一歩ずつ成長していきたいと思っています。