都内あっせん団体の廃業報道について

3月22日に民間養子縁組団体「ベビーライフ」があっせん許可を受けないまま事業を行い、2020年に廃業したという報道がなされました。

この関連で、社会福祉法人 日本国際社会事業団(ISSJ)にも報道機関より問い合わせがありましたので、改めて以下の通りお伝えいたします。

  1. 海外への養子縁組委託について

ISSJは、1952年の設立時には、戦後の社会で家庭養育が難しい子どもたちに家族を見つける国際養子縁組を行っていましたが、現在は原則として国内での委託を行っています。この運用は、1993年ハーグ条約[1]および特別養子縁組あっせん法[2]に準拠しています。国籍の異なる親子の場合も、最低3年は日本に居住して日本の家庭裁判所の審判を受けること、およびその審判が家族の本国においても法的に認められることを条件としています。

  1. 出自を知る権利について

日本も批准している子どもの権利条約では、第7条において「(児童は)できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する。」と規定されています。ISSJは、養子が自分の出自を知り、自らの記録へのアクセスが保証され、成長と発達に応じて生い立ちが整理されていくことが重要であると考えます。しかしながら日本では法整備などが十分ではなく、考え方や方法も関係者の間でばらつきがあります。この課題について当事者の相談にのるために、ISSJは2020年に「養子縁組後の相談窓口」を立ち上げました。

  1. あっせん利用料について

利益追求のためのあっせんは絶対にあってはならないことです。

この点をふまえて民間の許可団体は養子縁組あっせん利用料を受領し、料金を公開しています。ISSJは社会福祉法人ですが、行政からの委託金は一切受けていません。民間許可団体は、2018年より「モデル事業」に取り組むことで国および都道府県から助成金を受けられるようになっていますが、すべての運営費がカバーされるわけではありません。しかし、民間だからこそできることもあり(たとえば長期にわたる支援、都道府県を越える実践など)、各団体は工夫を凝らし、柔軟で品質の良いサービスを提供できるよう努めています。

  1. 未許可の事業者による養子縁組あっせんについて

東京都から許可を受けた民間あっせん団体は、ベビーライフが未許可の状態で養子縁組あっせんを続けていることについて、2020年2月17日に厚生労働省および東京都に上申書を提出しました。

私たちは今回の報道を受けて、民間団体が行う養子縁組について事実無根の情報が流れたり、良くない印象を持たれることを懸念しています。これは、民間団体を通じて養子縁組を行ったすべての親御さん、お子さんにも影響を及ぼします。また、これを機会に、子どもの「出自を知る権利」について議論が進み、制度が整備されることを望みます。

 

[1] 『国際的な養子縁組に関する子の保護および強力に関する条約』第4条b「子を出身国内において託置する可能性が適正に検討されたが、国際的な養子縁組が子の最善の利益に合致すると決定されること」日本は未批准。

[2] 『民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律』第3条第2項「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんは、可能な限り日本国内において児童が養育されることとなるよう、行われなければならない」