ISS本部会長
R・フランク
50周年は金祝と言われる意義深い年です。この50周年を記念する輝かしい日に皆様とご一緒できることを非常に幸せに存じております。
ISSはご存知の通り、異なる国の間に起こる家族や個人を助ける、という同じ目的をもって仕事をしている団体が集まっている世界的機関です。ISSJのような支部(national
branch)の第一義的な目的は、ISSネットワークのメンバーが互いにに密接な協力体制をとりながら協力することです。ISSネットワークの主な業務は国際的社会福祉の仕事です。これは、ISSの定款でも謳われているもので、差別
無くすべての人々への援助を目的としています。それらの人々は移住や他国への移動によって起こる個人あるいは家族の問題を常に克服していかなければなりません。人が国から国へと移るには、多くの理由があります。貧困、戦争、天災、暴動などから逃げ、また、自分の家族や自分自身が人生の中でより良いチャンスを探すためということもありますし、結婚、養子縁組、また国際的なキャリア(仕事)を探すため、母国を離れて他国にいる方もいるでしょう。外交官達であった人が、内乱の後に母国が分断し、不安定な存在におかれる場合もあります。
ISSがユニークな団体であるのは、このように援助の内容は様々ですが、それぞれの状況を見極めて、忍耐強く決意を持って援助を行うという点です。ISSJへ持ち込まれる相談内容については皆様も多分ご存知かと思いますが、ISSが携わるケースはパズルのようなものです。加盟者は(個人でも支部でも)ケースの状況を充分には知りえないことです。しかし、それぞれの仕事は、相談者の最善の利益となる解決策を考え実行するために、個々の問題点を知らなければなりません。したがって国際社会福祉は、国境を越えて協力関係の輪を作り、他の国との連絡をとることは成果
を生むために必要不可欠なのです。私達のネットワークは支部(branch)、提携支局(affiliated
bureau)、または通信員(correspondent)で構成されています。国際社会福祉の問題解決には、最低2カ国以上のISS支部、提携支局や通
信員がかかわってくるため、ISSは今日まで長い年月をかけて相互の幅広いネットワークを築き上げてきました。加盟者双方が強い実行力を発揮できるのは、時間と労力をおしまずに、現地での活動を支え発展させていく人々の熱意、責任にかかっているのです。ISSの会長として、今回初めてISSJの活動に直接ふれる機会を得ました。ISSのアジアにおける主要な拠点としてISSJを作り上げてきた歴代の専門スタッフや役員の皆様の献身的努力の結果
、本日、たくさんの方々がお集まりくださったり50周年を祝ってくださいましたことを大変嬉しく思います。
私は、変わりいく環境の中でISSJが今まで存続するため様々な苦労を重ねたことを聞いております。特に1989年から1993年までの間、他のISSネットワークとの関係においてもまた、内部的にも緊張状態があり、ISSJにとって困難な時期であったことも聞き及んでおります。しかし、同時にその状況から脱するため多大な努力を払われたことについても存じ上げております。以来、ISSJは、運営管理、活動の面
で、スタッフそして役員が熱意を持って努力して来られ、現在はISSネットワークとの関係はより安定したものとして前進の道を歩んでいます。ISSJの活動について詳しく知りたいと思っているのは、私だけではありません。事実、私たちは皆、ISSJの体験、専門的スタッフの働きについてもっと知るべきだと思っています。たとえばISSJがカンボジアで行ってきた活動もその1つです。過去数年間のトレーニング及びネットワーキング分野でのISSの活動について特に述べさせていただきたいと思います。日頃より、ISSJは定期的な研修セミナーを企画し、他の支部のスタッフとともに、特に児童福祉そして保護に関して相互に学びあう場を設けています。これは注目すべき重要な活動だと思います。フィリピン社会福祉開発省のソーシャルワーカーが、日本で1年間過ごし、フィリピンからの移住者が抱える問題や状況を自分の目で見るという機会が与えられるということは、本当に賞賛に値するものです。これによって、フィリピンのソーシャルワーカーの方々にとっては、日本に住み、働くフィリピン人のニーズについてより深く理解することができます。そしてISSJが援助している親族による子どもの養子縁組ケースの現状が見えてきます。そしてケースを見守り続ける必要性に気づかされます。継続的にモニターする必要性とチャレンジが改めて意味を持ってきます。私どもとしては、
ISS香港支部が中心になって行われているアジア・太平洋地域の活動の中で、ISSJがアジア・太平洋地域の通
信員に対し引き続き有意義な役割をになってほしいと願います。
2000年の日本の入国管理法の一部改正後、ISSJは外国人に関する法律改正の意味を周知させるのに貢献しました。改正した法律は、在住者、難民、養子、帰化希望者など、外国人の方々に幅広く影響するものとなりました。受入国の法律や規則により生活がどのように影響されるのか、についての理解を助けるという仕事はISSの伝統的な事業です。ISSJには、この事業に一層深く関わっていただきたいと思っています。今年5月、ISSJは第2回ISSアジア・太平洋地域研修セミナーを東京で開催し、オーストラリア、香港、フィリピン、タイ、韓国が参加しました。この会議でISS関係者が出会い共通
の問題点について議論できたことは非常に大きな貢献です。
この機会を利用しまして、個人、企業、団体など、ISSJの活動を支援してくださった皆様、そして厚生労働省、外務省、法務省、また、プログラムのひとつがISSJへ委託されている国連難民高等弁務官事務所の方々全員に深く感謝いたしたいと思います。
最後にあたり、ここにお集まりのISSJ役員そして支援してくださる皆様に、皆が積極的に結束する必要があるということで、お願いをしたいと思います。先にも申し上げましたとおり、ISSはそれぞれの国で活動する団体の集合体で、加盟国の代表の中から選出された国際委員会(International
Council)によって運営されています。同委員会の中から選ばれた実行委員会(Executive
Committee)が運営の責任を持ち、スイスのジュネーブに本部をおいて事務総長とサポートスタッフが全体の管理運営(Administration)を行っています。ISS本部はスイス民法にのっとった規定のもとで機能しています。目的を遂行するためには、ISS本部は関係国の福祉事業の間の橋渡しをしていますが、それは本部事務局の主な仕事の一つです。資金は各支部・提携支部からの会費です。全ISSの活動は本部事務局の援助なくしてはできません。
ISSJは今後も引き続き他の支部と同様ジュネーブ本部をサポートする責任があり、ISSJは本部をサポートするだけでなく、日本で新しい資金源を見つける努力をしてくださることを希望しています。皆様方のご助言がありましたら頂きたいと思います。また、皆様方がこの点に関しても積極的にかかわって下さることを願っております。ISSJの今後益々の発展と、このような記念すべき日を将来も迎えられることを心からお祈りしております。

