第4回グローバル・コンサルテーション参加報告
フィリピン政府社会福祉開発省が8月29日から31日までフィリピン・アンジェレス市にて開催した第6回グローバルコンサルテーションに日本財団の補助金を受けて大槻常務理事、大森事務局長と中村ソーシャルワーカーが参加しました。会議場のHoliday Inn Resortはアンジェラス市の元米軍基地内にあり、返還後軍の施設を少し改造してホテルにしたそうです。
8月29日9時から国歌斉唱の後施設の子ども達のパフォーマンス。日本では国際会議に、養護施設の子ども達のダンスや寸劇をプログラムに入れることは考えられません。参加者は家庭を必要とする子ども達の存在をいきなり強烈に印象付けられました。
参加者は265名。海外から40名位、フィリピン国内から220名余で、海外から参加した国は日本以外に、アメリカ、イギリス、インド、オーストラリア、オランダ、カナダ、スコットランド、タイ、中国、ドイツ、ノルウェー、マレーシアなどでした。
最初にスコットランドのマーガレット リンジ−氏から「施設収容がもたらす影響と家族を持つことの意義」をテーマに、子どもにはどのような家族が与えられるべきかについて講演がありました。、子どもは家族の中で育つ権利を有するが、両親の離婚や養育放棄をする父母のゆえに家庭を喪失する子どもが増えている。そうした子どもの保護のために、まず実親にカウンセリングをして子どものケアができるように援助する。さらに父母の環境等の調査をして、実親による養育が不可能な場合は早急に代替家庭を与える必要がある。その視点から、子どもにはどのような家族が与えられるべきかについて、 1.アイデンティティ 2.家族と社会の良好な関係 3.健全な精神の育成 4.健康 5.教育 6.社会の中における自己の存在 7.自立のためのスキルなどが保障されることが重要であると話されました。
アロヨ大統領のスピーチその後グループに分かれ「児童養護サービスの促進と早期措置の実践」について検討しました。常務理事と中村ワーカーが参加したAグループでは、収容施設における質の向上、早期措置の実践、ポリ−シーの実行についてを中心に意見交換が行われました。特に子どものケアにはさまざまな専門家例えば保母、医師、セラピスト、弁護士などが協力して対応するのが望ましい。そのためには地域にネットワークを広げることやスタッフのトレーニングが大切であるとの意見が出されました。施設はあくまで一時収容するものという考えが当たり前になりつつある世界の情勢に、日本の現状との隔たりを感じました。
大森ワーカーが参加したBグループでは、遺棄児の定義付けと養子縁組をする場合の時間の短縮が親子関係を形成する上で必要であることが討議されました。夫婦関係の破綻から遺棄されたり、性的虐待を受けるケースが増えていることから、親に対するカウンセリングが重要なポイントであることも確認されました。
レオン元DSWD長官とラジオ番組に出演する
大森事務局長続いてシンポジウムが開かれましたが、未婚の母の増加や薬物中毒者の増加、家出の増加、児童虐待や家庭内暴力の増加、さらに共働きの増加等さまざまな問題が家庭崩壊へと向かわせているので、早期防止プログラムとして、家族を維持するためのサポートや親族関係の強化、経済的安定のための雇用プログラムの強化、さらにどうしても実親による養育が困難なときや、問題解決の治療のための里親プログラムなどの必要性があげられました。
さらにパネルディスカッションでは、養親が専門家を仲介として必要なときに実親と連絡をとりながら子育てをするオープンアダプションの成功のためのルール作りや、実親が養育できない障害を持つ子どもの里親委託について、里親へのサポートの必要性が取り上げられました。また海外へ養子に行った子どもが母国を訪問し、自分のルーツの確認をするプログラムの報告もありました。
見学したchildren's home特別 プログラムとしてアロヨ大統領が出席されました。大統領は前社会福祉開発省長官でもあり福祉行政には詳しく、フィリピンの福祉および、経済状況と政策について具体的な数字を並べながらのお話でした。特にフィリピンは多くの貧困層を抱え、人々が海外で働かざるを得ない現状があるが、そうした人々が訪問国でさまざまな困難を抱えた時支援してくれる人々の存在は欠かせないことであるとスピーチされました。ポスト会議で見学した子どもの一時保護施設には国際結婚をした日本人父とフィリピン人母の間に生まれた4人の子どもが生活をしていました。フィリピン人母が行方不明になり、日本人父は生活苦から子どもを養育できず施設に預けていました。他にも日本から送還されたが引取り手のいない子どもが収容されていました。国際結婚後や交際中に問題を抱え子どもを施設に預ける親が急増しているので、ソリマンDSWD長官やソーシャルワーカーたちと親へのカウンセリングのあり方や援助方法について協議しました。さらにレオン元DSWD長官と一緒にラジオ番組に出演し、日本におけるフィリピン国籍の人々が持つ問題について話す機会が与えられました。