特別 寄稿−難民条約50周年および日本の難民条約批准20周年を振り返って
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)首席法務官 ディエーゴ・ロゼ−ロ  



今年2001年は、「1951年難民条約」採択50周年を迎えます。この難民条約は、世界の国々が連携し、保護する政府がない外国人を守るために制定されたもので、日本も難民条約を批准して20周年を迎えます。

2000年現在、世界中の1,290万人の難民と難民申請者のうち、日本は約4,000人(過去10年以内に来日した者)が生活しています。インドシナ難民に対しては十分な受入れ体制や総合的援助を行うことが出来たといえましょう。しかしながら、インドシナ難民以外の他の国から来た難民や難民申請者たちは、難民申請の認定審査を待っている間に、生活上の基本的ニーズを満たす十分な物質的援助を政府機関から受けてはいません。この難民認定の手続きは2年以上かかるため、申請者ほとんどが彼等自身の乏しい資金に頼らざるを得ませんし、就職活動は、就労ビザがなく日本語が話せなければ大変難しいのが現状です。難民事業本部(RHQ)は、インドシナ難民を援助してきた機関であり、また、インドシナ以外の難民申請者を援助する小さなプログラムも持っていますが、そのサービスを受ける者はまだまだ少数にすぎません。

日本は生活費が高いため、難民たちが抱えるニーズは非常に高いのです。日本と同じような生活水準にある他の先進国では、どのようにこれらの人道的ニーズに対処しているのでしょうか?多くの国が、難民または申請者たちが到着してすぐの最も大切な時期に、シェルター、医療、食事、また言語訓練などのサービスを提供しています。残念ながら、日本においてこのような状況は見られません。まず、シェルターがないため、日本の高い家賃は、彼等が抱える最も深刻な問題の一つであり、医療保険を受ける資格がないため、病気に罹らないようにしなくてはいけませんし、周囲とのコミュニケーションが取れないため、孤立感を募らせてしまいます。

このような背景のもと、UNHCRとISSJを含めた他のNGO団体は、カウンセリング、オリエンテーション、住居探し、医療問題への対処、就職活動など、難民事業本部から援助を受けなかった難民や難民申請者を援助するために小さなプログラムを発展させてきました。しかし、難民のニーズがあまりにも高く、これらの団体の努力だけではニーズを満たしきれないのが現状です。難民および難民申請者の直面 している問題の総合的な解決を図るため、20年前、日本政府の難民条約批准を進めた人道的価値観が、そしてインドシナ難民の総合的援助の際に見られた寛大さが、近い将来再び反映されるよう願う次第です。