ISS本部会議・アジア太平洋地域会議報告

 

 ISSJ ソーシャルワーカー

平成18年5月17日〜25日、ISS本部会議、アジア太平洋地域会議がISS香港主催で開催され、ISSJから大森常務理事、日原の2名が参加しました。今回新たな試みとして、通信支局向けのISSトレーニングセミナーが開かれました。9日間にすべての会議を消化しなければならなかったため、スケジュール的に多忙でしたが、初めて参加する私にとっては、各国の代表と話す機会が与えられ、他の支局のケースや運営状況が見えたことは大きな収穫でした。どの会議においても資金調達が議論の中心であったように感じ、資金に苦労しているのはISSJのみではないことを痛感した出張でした。

通信員向けトレーニングセミナーは、「親と離ればなれになったあるいは誰にも付き添われていない子ども達−国際ケースワークの原則と方法−」をテーマに、アジア太平洋地域会議に先駆けて2日間行われました。参加者は主としてアジア太平洋地域の通信員でしたが、ケニア、カナダ、スイスなどアジア太平洋以外の地域やISS支局からの出席もあり積極的な意見交換を行いました。指定テーマのケースをISSガイドラインに添ってどのように進めるのがクライエントにとって最善かをグループメンバーと話しあうことで、ISSケースワークの理解が深まったと思います。またこのガイドラインをISSJスタッフ全員で再度見直していく必要性も感じました。

アジア太平洋地域会議では前回(平成17年)ニュージーランドにて話合われた課題の進展状況の確認から始まりました。最も注目されていた課題の1つは、日本政府によるハーグ条約の批准でした。大森常務理事より、いまだ日本政府はこの条約を批准してはいないものの、政府が他国の国際養子縁組状況についてアンケートを作成、配布していること、そしてISSJがそのアンケートの監修をしたことが進展の1つとして発表され、他国のメンバーから一定の評価を受けました。日本がこの条約に批准していないという事実が国際的に見ていかに特異に写っているかを改めて感じ取ることができ、批准に向け更なる政府の働きかけの重要性を感じました。会議ではISS香港を中心に、ネットワーク強化やISS綱領の改定などISS本部に対し積極的に働きかけていました。アジア太平洋地域の統率力は、ISS本部にとって大きな力であることを実感するとともに誇りに感じました。
 
5月22日には、ISS香港主催の国際シンポジュームが開催され、UNICEFのDr.Rima Salah氏等がゲストスピーカーとして参加しました。また福祉関係者のみでなく、マイクロソフトといった企業の参加もあり、ISS香港の政策の多様さに感銘を受けました。「子どもたちは現在の課題にいかに取り組んでいるか−国際的な反応として−」をテーマに掲げたこのシンポジュームの目玉は代表として壇上に立った8名の子ども達でした。多文化である香港に住む彼らの国籍、人種的・宗教的背景は多種多様であり、それゆえ彼等の抱える問題も広範囲に亘りました。中国本土出身の女の子は、中国本土での生活様式や教育システムの違いに戸惑いながらもなんとか乗り越えた経験を堂々と語っていました。子どもの目線から、彼らの問題を考えていくことは、私たち現場のソーシャルワーカーには本当に重要であり、大変興味深いものでした。

ISS本部会議には世界各国の支局や通信員等およそ60名が参加し、今回はケニア、バングラディシュなど新しい国からの参加があったこと、またISSフィリピンが通信員から支局に昇格したことなどが印象に残りました。またISS香港の理事を中心に5名のメンバーが、戦略的に今後のISS運営について話し合うことが決まり、最大の課題である効果的な資金調達方法に突破口を見出せるよう期待されています。

最終日5月25日には常務(EXCO)会議が開かれ、ISSの新しい理事などが正式に選出されました。新会長の選出については候補者未定のため後日行われることになりました。時間の制限もあり話し合うべき議題を消化できなかったのが少々残念です。

今回全日程が香港で開催されたため、トレーニング、アジア太平洋地域会議、ISS本部会議にすべて出席でき、この参加経験から多くを学ぶことができた。特に、資金調達やスタッフ不足などISSJ内で問題となっていることはISS本部や他の支局でも問題となっていること、他国の文化的・政治的背景を理解する努力はISS-1ケースワークを実践する最重要な点の1つであることを実感しました。